第5話:ド下手新人デビュー
興都館の社長・久慈勝:
我々は出版社です。紙の本は出し続けます。そして売りまくらなければなりません。
目標は常に、重版出来です。
副編集長・五百旗頭敬:
儲けが出ない本は重版をかけてもらえない。
重版が無理でもせめて黒字の実績が出るように作る。
主人公の新米編集者・黒沢心:
実績が残せなかったら..
副編集長・五百旗頭敬:
あの作家は売れないってレッテルが貼られる。そうなると次の単行本が出しにくくなる。
新人に限っては、絶対に!重版がかかりやすい設計にしろ!
作家の可能性にキズを付けるな。
『バイブス』編集長・和田靖樹:
漫画家がピッチャー、俺たち編集者はキャッチャーだ!
くせ球、直球、大暴投、どんな球でもキャッチして、走者が出塁すれば、必ずや刺す~!
副編集長・五百旗頭敬:
常に善い行いをするってのは、うちの久慈社長のポリシー。俺はそれをただ真似ているだけ。
副編集長・五百旗頭敬:
久慈社長は今でも電車通勤している。酒もタバコもギャンブルもしない、家は借家で必要最低限の暮らしを守ってる。
主人公の新米編集者・黒沢心:
まるで聖人ですねぇ~
副編集長・五百旗頭敬:
俺も最初はそう思った。でも聞いたらさぁ、「どれも運を貯めるため」って言うんだよ。
謎の老人(火野正平):
良い事を教えちゃろ。
運は貯められるぞ..世の中はな、足して引いてゼロになると。
生まれた時に持ってるものに差があっても、札は同じ数だけ配られる。
善いことをしたら運は貯まる。悪いことしたらすぐに運は減りよる。
謎の老人(火野正平):
運を味方にすれば、何十倍も幸せは膨れ上がる。
謎の老人(火野正平):
問題はどこで勝ちたいかや。自分がどうなりたいか、自分の頭で考えろ!
考えて考えて、吐くほど考えて、見極めろ。運を使いこなせ。
ある作家:
君が若い頃に出会ったって言うその老人、きっと聖なる予言者ですよ。
運命の神は、人が間違った方向へ行かないように、人間のふりをして立っているんです。
聞くも聞かぬも人の選択。
興都館の社長・久慈勝:
もし運が貯められるなら、私は仕事で勝ちたい!
全ての運をヒットに注ぎ込みたい。そのために運を貯め続けるのです!
装丁デザイナー・野呂ダイスケ:
僕はデザインの師匠に言われたことを守ってるだけだよ。
「世の中をよく見ろ、世間は朝日で溢れている。書店には本が溢れている。
その中から1冊を選んでもらう魔法はない。」
装丁デザイナー・野呂ダイスケ:
「だから考えろ。考えて考えて、限られた予算の中で最大最高の仕事をしろ。
常に己に問え、自分の仕事だと胸を張れるものを、世の中に送り出せているのか。」
興都館の社長・久慈勝:
我々は毎年、多くの本を出版しています。それは誇りです。
生きていくのに本は、必ずしも必要ではないかもしれない。読まなくても生きていけるかもしれない。
だが、たった1冊の本が人生を動かすこともある。誰かに救いをもたらすことも出来る。
だから私は、1冊でも多くの本を読者に届けたい。それが本への恩返しなんです。
興都館の社長・久慈勝:
本が..私を人間にしてくれた。
これからも私は本を売り続けます。だからここ(本の処分所)へ来るんです。この痛みを忘れない為に。
『バイブス』編集長・和田靖樹:
前代未聞..良いじゃないかよ。
誰も見たことがないものを載せるのが雑誌だよ。
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