黒田官兵衛(くろだ かんべい)
四角な器にも円い器にも、水は器に応じてはいる。
人にこびず、富貴を望まず。
大名の子供は生まれたときから、平素安楽に育ち、難儀をしたことがないから、下々の者の苦労を知らない。
それだから、人の使い方が荒く、下々の困っていることを悟らず、上一人のために万民を悩ますことが多い。
すべて国を治めていくには、普通の人と同じ心がけでは駄目である。
まず、政道に私なく、その上、わが身の行儀作法を乱さず、万民の手本とならねばならない。
人には気が合う気が合わないということがある。
主人が家来を使う場合には、とくにありがちなことだ。気の合う家来が、もし善人であったならば、国の重宝となるが、悪人であったとすれば、国家の妨げとなるのであるから、大変な違いである。
家来たちの中に、たとえ自分と気が合わない者がいて、それを傍ら近く召し使い、軽い用事を勤めさせることがあっても、その者に心を奪われてはならない。
最期の勝ちを得るにはどうしたらいいかを考えよ。