司馬遼太郎(しば りょうたろう)
男が自分の技量に自信をもったときの美しさというものは格別なものだが、自らの位階に自信をもった場合は、鼻持ちならなくなる。
一生というものは、美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている。
人間、ひたすらに頼まれるほど心の弱まることはない。
日本人は均一性を欲する。
大多数がやっていることが神聖であり、同時に脅迫である。
何でも思い切ってやってみることですよ。
どっちに転んだって人間、野辺の石ころ同様、骨となって一生を終えるのだから。
古今、物事を革新する者は多くはその道の素人である。
志を守り抜く工夫は、日常茶飯の自己規律にある。
智恵よりも大事なのは覚悟や、と。
覚悟さえすわれば、智恵は小智恵でもええ、浅智恵でもええ、あとはなんとかなるやろう。
自分に厳しく相手には優しくとも言った。
それらを訓練することで、自己が確立されていくのである。そして、“たのもしい君たち”になっていくのである。
例えば、友達が転ぶ。
「あぁ痛かったろうな」と感じる気持ちを、そのつど自分の中で作りあげていきさえすればよい。
いったん志を抱けば、この志にむかって事が進捗するような手段のみをとり、いやしくも弱気を発してはいけない。
たとえその目的が成就できなくても、その目的への道中で死ぬべきだ。
君が天才であろうとなかろうと、この場合たいしたことではない。
たとえ君が天才であっても、君は最高司令官に使われる騎兵であるにすぎない。要は君の使い手が天才であるかどうかということだ。