薩摩国の守護大名・島津義久
威勢をもって人を屈服すれば、その身体は屈従したようでも、心は従わない。正直の徳をもって民を従えさえすれば、身命を軽んじて、謀反の心を起こすようなことはないのである。
ほしいままに民のものを取ってはならない。民が貧しければ、主に財が無くなるものである。
たとえていえば、枯れた木の根本のようなものである。民は主の財である。ゆるがせにしてはならない。
主人の利益を基とし、いやしくも私利をむさぼることがあってはならない。民の利益を先にして、己の利益を後にせよ。
民の耕作の隙を見て、これを召使うことが肝要である。
罰を薄くして賞を厚くせよ。
家の造りを立派にすることは、古の賢王が堅く禁じたところである。
百姓を憐むことをもって、憲法の第一としたい。民の飢えや寒さを思い、貧窮の苦悩を知ることが重要。
悪い若党(身分の低い者)は使ってはならぬ。悪い友だちと交わってはならぬ。
肝要のところに気を配れ。どうでもよいところに気をつけるものではない。
小板葺きにして立派になっても、百姓が疲れきっているようでは、使者は国主の政治が良くないことを見抜くだろう。
敵の首は、実検するにもそれ相応の礼儀というものがある。いかに女であろうとも、武将の首を足蹴の恥にあわせるとは許せぬ。