早坂茂三(はやかさ しげぞう)
どんな小さな会社でも、いい仕事をしていれば生きていける。
良質で、値段が安く、長持ちして、後の面倒見のいい商品を作りさえすれば、あるいは、同じようなサービスを提供することができれば、お客は必ずつく。これが資本の論理というものだ。
意地というのは、人間が生きていくうえでの背骨だ。
背骨があるから頭が支えられている。背骨があるから、血液のもとになる骨髄液が、日夜不断に再生産されていく。
意地というものを人間から取れば、それは背骨なし、つまり、クラゲになってしまう。クラゲは潮の流れに身を任せて漂うだけだ。
(田中角栄が私にこう言ったことがある)
誰にも長所がある。それを引き出すことだ。いばるな、どなるな、言えば分かる。手のひらを返すような仕打ちをするな。いつでも平らに人と接することだ。
叱る時には、誰もいないところでガッチリやったらいい。
どんなささやかなことでも、褒めるときには、大勢のいる前でドンと褒めてやることだ。そうすれば若者は奮起する。いつか必ず知遇に応えてくれる。
この世の中は一皮剥けば義理と因縁と情実と不公正の寄席細工だ。
もちろん、四つの要素がすべてではない。しかし、世間の実態はそういうものだということを、腹にしっかりたたみこんでおいたほうがいい。