僕との生活が嫌になったってことですか。困ります。みくりさんは僕にとってもう簡単に手放せる存在ではなくなったんです。
主人公・森山みくり:
もうずるい!そんなこと言うと、どんどん好きになっちゃう。私ばっかり好きになっちゃう。
さっき会ってたじゃないですか、可愛い子と。
プロの独身男・津崎平匡:
もし違ってたらすみません。調子に乗ってるわけじゃなく…もしかして、嫉妬してくれたんですか?
ずっとみくりさんが僕のこと好きだったらいいのにって思ってました。ずっと。でも考えないようにしてました・・
考えてみれば「いちゃいちゃ」って・・誰が考えた言葉なんでしょう。
逃げてもいい、恥ずかしい逃げ方だったとしても生き抜くことの方が大切で、その点においては異論も反論も認めない。
だけど、ここはダメだ。
大切な人から逃げてはダメだ。失いたくないのなら、どんなにかっこ悪くても逃げては、無様でも・・
「カワイイ」は最強なんです。
カッコいいの場合、かっこ悪いところを見ると幻滅するかもしれない。でもカワイイの場合は、なにをしてもカワイイ!
カワイイの前では服従。全面降伏なんです。
どんな奇妙な関係でも、意思があれば続いていく。
どちらかが変えたいと願わない限り。バランスを壊さない限り。いつまでもこのまま続けていける。
「好きの搾取」です。
好きならば、愛があるならば、なんだって出来るだろうって、そんなことでいいんでしょうか?
私、森山みくりは、「好きの搾取」に断固として反対します。
あれからハグの日は解体され、気持ちの赴くまま毎日していたものだから、気持ちが離れてしまえば手すら触れない。何もない。
「好きの搾取」・・そう言われてドキッとした。
心のどこかで、自分が好きなら当然提案を受け入れてくれると思っていた。いつの間に僕は、こんなに思い上がってしまったのか。
夫が雇用主で、妻が従業員、そこからして間違ってるのでは。
主婦も家庭を支える立派な職業であるから、そう考えれば夫も妻も「共同経営責任者」。
この考え方で、僕たちの関係も再構築しませんか?
当たり前が当たり前でない時だってあるんだ。世の中にはねぇ、目には見えないダークマターだって存在するんだよ!
今あなたが価値がないと切り捨てたものは、この先あなたが向かっていく未来でもあるのよ。
自分が馬鹿にしていたものに、自分がなる。それって辛いんじゃないかな。
みくりさんが閉じたシャッターは、いつか僕が閉じたものとお味かもしれない。だとしたら僕は・・開け方を知っている。
何度も何度も、見捨てずにノックしてくれたのは、ほかの誰でもない、みくりさんだ。
生きていくのって、面倒くさいです。
それは一人でも二人でも同じで、それぞれ違う面倒くささがあって、どっちにしても面倒くさいんだったら、一緒にいるのも手じゃないでしょうか。
上手くいかない時、待っていてくれる人。信じてくれる人。見失っちゃいけない。立て直そう一つ一つ・・
立て直そう、ゆっくりでも。
ハグの日、復活させませんか?
忙しいと忘れがちになったり、喧嘩した時どうやって触れたらいいのか分からなくなるので・・
逃げてしまう時があっても、深呼吸して、別の道を探して、また戻って。良い日も悪い日も、いつだってまた火曜日から始めよう。