土光敏夫 (どこう としお)
やりがい、働きがいは、やってみてはじめて出てくる。やりもしない、働きもしないで、どうしてそのような喜びが得られるだろうか。
生きがいにしてもそうだ。精一杯生きる努力をして、はじめて生きる喜びを知るのだ。
私が最も重視するのは「早期・重課・鍛錬主義」である。どんな人でも若いうちから、能力を上回る程度の仕事を与え、厳しく鍛える。
そのような困難に立ち向かい、努力を重ね、苦労を積まねば人は育たぬ。実力と人間は形成されぬ。教育はキレイごとではダメなのである。
リスクの大きさと利益の大きさは比例するものだ。リスクが小さければ、誰もがその機会を追及するから、利益も小さい。逆にリスクが大きければ、得られる利益は大きい。利益とは、リスクに対する対価だと言わねばならぬ。
十年間でどういうふうに変化するのかということについて常に我々は一応の見通しを持たなければならない。
それから超産業社会に進みつつあるという一般的な知識をもっと重視する必要があろう。変化することが企業の本質であり、変化に先んじて変化を作り出す企業が必要ではないか。
やるべきことが決まったならば執念をもってとことんまで押し進めよ。問題は能力ではなく執念の欠如である。