福沢諭吉(ふくざわ ゆきち)
一度、学問に入らば、大いに学問すべし。農たらば大農となれ、商たらば大商となれ。
信の世界に偽詐多く、疑の世界に真理多し。
みだりに人を軽蔑する者は、必ずまた人の軽蔑を免るべからず。
未だ試みずして、先ず疑うものは、勇者ではない。
賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとによって出来るものなり。
人は、生まれながらに、貴賤貧富の別なし。
ただ、良く学ぶ者は、貴人となり、富人となり、そして、無学なる者は、貧人となり、下人となる。
結婚は人生の重大事なれば、配偶の選択は最も慎重ならざるべからず。
人生は芝居のごとし、上手な役者が乞食になることもあれば、大根役者が殿様になることもある。
とかく、あまり人生を重く見ず、捨て身になって何事も一心になすべし。
自由とわがままとの界は、他人の妨げをなすとなさざるとの間にあり。
また今日不弁なる人の言を聞くに、その言葉の数はなはだ少なくしていかにも不自由なるがごとし。