坂東玉三郎(Bandoutama Saburou)
“歌舞伎役者。気品のある美貌と、高い身体能力を生かした舞、そして伝統と役を深く理解した演技で、女形としてトップの地位に立ち続けてきた。
坂東玉三郎の名言集
「凄み」と「がんばる」というのは違う。「ふけてはいけない」というのと「軽くなる」のは違う。「病気のけだるさ」と「恨みの辛さ」も違う。
結局、ぼくはまだ若いですから声を安易に使うと軽くなる。それがむずかしいのです。
型に関してものを言う場合は、自分が3回ぐらい再演して自分なりに消化したうえで、
「この型というのはこれこれこうだから、全体のバランスを考えるとこうしないと展開しないんじゃないか」とか初めて言えるんですね。
どういう型があり、先輩の役者の方々がどういう演技方法を残されたか、ということを考える。
これはどの俳優さんでもなさっていると思います。そして、その読み方によって解釈が違い、選ぶ型が違ってくるんですね。
どういう役柄にしたらいいかということも大切ですが、歌舞伎の場合はやっぱり伝承とか型も大事です。
伝承や型を考えてみて、脚本を読んで全体の意味を知りその中で自分の役が何を表現したらよいのかを掴まなくてはならないんです。
自分の舞台上の姿が自覚の中にないんです。
ですから、聞かれるたびに答えていても、それは意識的に作った答え、演じていく過程、役を教わった過程での方法論の言葉が自分の中にあって、その言葉で答えていくだけなんです。
美の基本はやはり丁寧でなければなりません。私は、力技で他人と対さないということが、日本人ならではのやわらかさだと思います。
他人への気遣いであり、優しさであり、また所作が丁寧であることもやわらかさに繋がるのだと思います。